別れる事になりました

26/26
前へ
/400ページ
次へ
  暴風によって空高く打ち上げられたルークはクロムに向かう魔弾を見た。 さっきの魔弾より二回り程でかい。あんな物を喰らえば命は無い。 「兄さん逃げろ!逃げてくれよ!頼む頼むよ!兄ィイーーさぁぁん!!」 彼の切実な叫びにクロムは穏やかな声で言った。 《俺はもう…間に合わない。血を流しすぎたせいか前が…霞むんだ。》 「そんな状態なのにどうして僕なんか助けたんだよ!?」 《言ったはずだお前は変革の――いや、そんなのどうだっていい。お前には…生きて欲しかったんだ》 クロムと魔弾との距離が百を切った。 《いいか…ルーク。生きろ。生きていればなんだって出来る。それと……エレナやレイ、ステラ。あとウルを頼むな》 「止めてよ、お願いだから止めて……」 距離が七十を切る 《そう言えばあの人達に゛お父さん、お母さん゛って一回も言えなかった…良い人達だったな……》 「死なないで下さいよ…っ。兄さんは、僕の憧れなんですから…!」 距離が四十を切る 《ルーク……俺の様になるな… こんな――ろくでなしに》 距離が十を切った。 もう肉眼では見えない位置にルークは居た。近くに川が流れでいる。あと数秒もすれば着水するだろう。 「兄さん!!兄ぃいさん!兄ぃぃいぃさーーん!!」 ルークは目に涙を溜め、必死に叫んだ。そんな彼の耳にクロムの声が響いた。 《もう充分だ。ありがとう》 その言葉を最後に彼は魔弾に飲み込まれ…… ――この世界から旅立った  
/400ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17739人が本棚に入れています
本棚に追加