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此処までは計画通りだ。後は、クロムが恐れるクレア学園長から混乱に乗じて宝玉を拝借して終わり。
犠牲は最小限に抑える。
の、筈だったのだが
「邪魔だ、お前ら。学生は勉強でもしてろ」
「そりゃ、アンタの方だ」
自分の力に過信した学生が魔物に戦う始末に終えない事態に成った。よく見ると、戦っているのは決勝進出者が殆どだ。
口だけは達者な様で今もまた、魔物の爪に因って脚を切り付けられる。
ちょっと深い傷ぐらいで叫び声を上げる学生。
叫び声を上げる、則ち隙が生まれる。
学生の喉に飛び付く魔物を上下に分断すると、クロムは学生の首根っこを掴みシェリー宅配便、目掛けて投げた。
「さて、と……」
跳躍し、VIP席に座るクレアの前に着地した。
座りながら空から来る翼龍を撃ち落とす彼女。腕は全く落ちていない様だ。
「………………」
数年振りに再開した元上司にクロムが取った行動は――
「どうぞ、あの世名物『あの羊羹』です」
あの羊羹――あのようかん――あの世うかん
寒いダジャレの土産だった。
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