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ルーク・ウォーカーはただ固まっていた。
彼は他の決勝進出者と同じく魔物と戦った。
その過程で傷を負ったエレナをウルと共に安全な場所に送り届けた彼は今、信じられない物を見た。
「兄…さん……っ?」
視線の先には、忘れもしない自分の憧れであり、目標だったクロム。その彼と戦うオセも又、忘れもしない。
「本物…なの?」
「あぁ、本物だ」
匂いで判断したのか、ウルが頷いた。しかしウル自身半信半疑らしく、何とも言えない表情をしている。
「まるで、あの時の様だ……」
二人の殺し合い。
倒すなど生易しい言葉では済まされない。
確実に、決定的で、絶対に相手の命を絶つ。
殺害。
どちらか一人の未来にはそれしかない。引いて、再戦など絶対に無い。
どちらか一方が〝絶対〟に死ぬ殺し合いが、リング上で繰り広げられていた。
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