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――諦めるのかい?
何処からか聞こえる欲求をくすぐる甘美な囁き。
――私は此処だ
声が聞こえた場所に目を向ける。視線の先はクロムの胸元に向けられていた。
悪魔化を解除したクロムの衣服越しから仄かに紅く光る輝き。
――解放してくれ。さすれば、願いを聞き入れよう。
オセの願い、それは一生戦い続ける無理難題な願い。
その願いが絶たれた今、彼は正体不明な声に従った。
「――■■■■■■ッ!!」
首から筋肉が断絶する音が響く。細い筋が固まって形成された筋肉は、絹織物を引き裂く様に千切れて行く。
限界生存時間は十秒弱。
文字通り、最期の力を振り絞った執念の一撃は、生物最古の攻撃手段―――首上の噛み付きであった。
命を賭けた……いや、命を捨てた一撃に対処出来る筈もなく、オセの牙が宝玉に突き刺さる。
ガラスが砕ける甲高い音と共に宝玉から、どす黒い煙りが噴出した。
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