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だが今は感傷に浸かっている暇は無い。一刻も速く全ての原因である悪器の破壊。
今の状況からクロムは害を及ぼす悪器を悪鬼と命名し、消す手段を検討する。
武器は夢の世界の為か持ち込めず、悪鬼の居場所も解らない。
「まずは、どうするか……」
腕を組み考えるクロム。そんな彼にレイは恐る恐る言った。
「あの…シェリーさんが言ってたんですが、兄さんは『花畑らしき場所に居る』との事です」
「成る程…よし、裏山に行くか」
はい――二人は頷き裏山に向かう。気まずい空気を同伴させながら。
クロムは何年も会わず、二人は数時間前まで死亡したと思っていた人物との再開。
時間とは残酷な物で、彼等の間には言葉に出来ない溝が出来ていた。
会えて嬉しい、生きていて嬉しい――でも、どう会話すれば良いか解らない。会話したい、この数年間の出来事を、思いを伝えたい。
でも、伝えられない。
まるでヤマアラシの心理だ。近付きたいけど、離れたい。離れたくないけど、近付けない。
無限に循環する負の心理。
二人が最初に言いたい事はただ一つ
『――会いたかった』
ただ、それだけだ。
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