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先を歩くクロムの背中を見た。
最後に会った時よりも、大きく成った。肉体的にも精神的にもだ。
「……(そう言えば私、あの背中に乗って下山したのよね)」
丁度、前方から下山する子供の男女の様に。
――そうそう、確かあの子の様に脚を痛めて……えっ?
エレナの顔色が変わる。何故なら目の前に居るのは子供時代のエレナとクロムそのもの。
子供二人の左右には同じく子供のルークとレイ。
半透明の彼等四人。まるでビデオ再生の様に、あの日通りの行動をする。
試しにレイが彼等に手を伸ばすが、手はすり抜けるだけ。
「夢幻…皮肉だな」
自身の相棒であり右腕である夢幻と同じ漢字。
夢と幻に捕まったルーク、まさしく皮肉以外の何物でもない。
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