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「行こう、時間が惜しい」
振り払う様にクロムは歩みを続ける。二人も、彼に付いて行く。
皆で山登りした日、ルークがエレナに対する思いを打ち明けた日、鬼ごっこした日の思い出。
その全てがこの裏山に同時進行で映し出される。二人のルークが見える時もある、この状態は異常だった。
「速く、ルークを助けないとッ!!」
エレナが呟く。
ルークの思いを知った彼女がどう行動するのかは解らない。それでもクロムは、良い方向に向かうと信じている。
その為にも、ルークを助けなくてはいけない。
* * *
やがてクロム達は見覚えのある場所に着いた。
時刻は日中。山の中腹にある花畑は陽射しを浴び光り輝いていた。
そんな花畑の中央に一人の少年。その少年は今まで見てきた半透明の記憶体ではなく、肉体を持っている。
「ルークーーッ!!」
エレナが駆け寄るが花畑に入った途端、地面から植物の根が飛び出して来た。
直ぐさまエレナの襟首を掴み、背後に回避した。
『邪魔スルナ』
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