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「え……っ?」
素っ頓狂な声が漏れる。緊張感が感じられない、男とも女とも聞き取れる声。いや、そんな生易しい物じゃない。
「君はさ~~あんな屑神に負けたいの~~?」
「ルーク……?」
声の発信源はルークだった。だが、彼の目からは光が感じられず、無心に近い状態になっている。
「もう一度聞くよ~。君は負けたいの~~?」
負けたい筈がない。だが、今の自分の状態は最悪だ。どうすれば奴に勝てると言うのだろう。
「確かに今の君の力では、勝てないね……普通なら」
――普通なら……?
「君は知らないと思うけど、僕は最初にして最古の神だ、力の改竄なんて簡単さ!!」
――夢幻世界なら尚更さ
どこか嬉しそうで悪戯っぽい色が宿る、笑顔で言い放った。
その瞬間、クロムの身体に四肢の感覚と熱い力が戻ってきた。弾かれるように飛び起き、付近に突き刺さっていた太刀を引き抜いた。
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