友達。

7/11

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「‥‥‥‥ブブッ!! イタッ!!」 こらえきれずにトモミが笑い、また指に針を刺したようだ。 「ちょっとトモミ失礼だし!」 「だって、モリゾーって、おじいちゃんだよね?」 「あ‥そうなの‥あの緑の‥」 「ブブブーッ!!!」 笑ったトモミをみて、ノゾミとハルカはちらりとキリの様子を伺った。 すると、キリはほっとしたように笑顔になっていた。 どうやら笑ってよかったらしい。 トモミはひとしきり笑うと目じりの涙を手の甲でぬぐいながら 「モリゾーもいいけどねー、キリちゃんって呼んでいい?」 と、さらりと聞いた。 「うん、モリゾーは男子部員に呼ばれてたんだ。女の子たちからはみんなキリって呼ばれてたから。」 「何か部活やってたの?」 「うん、陸上。」 「え? 運動部だったの?」 ハルカはびっくりして聞くと、キリは今まで見ていたようなくらい印象ではなく、力強い笑顔に変わった。 「ハードルやってて、怪我で入院してて、この間退院したの。」 「あ‥‥‥」 ハルカはそういって言葉をなくした。 でもそれをみてキリはあわてて 「あ、全然気にしないで。リハビリも終わって今は普通に歩けるし。体育の授業くらいなら別に平気だから。」 「そ、そうなんだ‥」 ノゾミもちょっと声をトーンダウンさせてしまったのを見て、キリは言葉をのみこんだ。 話すべきではなかったのだろうか。 でも、それを隠すことをしたくなかった。 話しさえ出来れば‥と、キリもいつも思っていたのに。 「‥‥‥‥」
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加