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「いつから入院してたの?」
その雰囲気を壊したのはまたもトモミだった。
「あ、ええと去年の末くらいから。」
「学校は?」
「あたし南だったの。南去年で閉校したでしょ? あたし去年卒業する予定だったんだけど一年いけなかったから‥」
「へぇー、大変だったね。」
大変だったね。
その言葉は、ひどく軽くも聞こえたけど、不快ではなかった。
ノゾミとハルカはトモミをたしなめようとしたが、うまくできずにそのまま口をつぐんでいた。
リエナは親身にその話を頷きながら聞いていた。
「じゃあいっこ上だけど、キリちゃんでもいい?」
もういちど、トモミはそういう。
キリは一瞬驚いた顔をしたけど、人懐っこい笑顔をしてコクリと頷いた。
「キリでもいいよ。」
「キリっていうか、キリちゃんぽいよね。」
「そう?」
にこ、二人がそう笑って、そしてトモミが思い出したように
「あたしトモミ。」
と名前を言うと、あわててハルカがつづく。
「あたしはハルカ。遥か遠くの、はるか。」
のぞみはそれをうけて、キリに向かって
「あたしはノゾミ。希望のぼう。」
といってちょっと照れたように笑う。その顔を見てキリも笑顔になった。
「あたしはリエナ。理由のりに絵画のえ、神奈川のな。」
二人が名前を告げたのを見て、リエナも笑顔でキリによろしくね、と付け足した。
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