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寮に帰って部屋についても亮ちゃんは何も喋ってくれへんくて。俺が謝っても聞いてへん、顔覗いても目も合わしてくれへん。
黙ったまんま。
「…亮ちゃん怒ってる?」
「…」
ヤスの部屋みたいにソファーはなくて、二段ベッドに二人揃って座ってて。こうやって隣に座るのもめちゃくちゃ久しぶりで。それは俺が部屋に帰らへんかったせいで。
「亮ちゃん、ごめんな?」
太股に手を添えて顔を覗き込んだ俺。やっとこっちを向いてくれたって思ったら、見慣れない景色。
押し倒されたことに気付くのは、そう遅くなくて。
「…お前、なにキスマーク付けて帰ってきてんの?」
「へ?あ、ご…めん」
明らか口調からして怒ってる亮ちゃん。口許は笑ってんのに目は笑ってなくて、めちゃくちゃ怖い。
「…ヤスやろ?」
「気持ち良かった?」
「何されたん?」
亮ちゃんからの質問責めに、俺は何も言えなくて。俯いた俺の前髪を鷲掴みして目で何かを訴えられる。
「…ごめん、亮ちゃんごめん」
俺は初めて見る亮ちゃんが怖くて、声が震える
「はは、謝っても許さんで」
返された言葉は残酷で、細い腕で両腕を纏められてネクタイで拘束されて、
凄く、嫌な予感がした。
「や、っ…嫌や!」
何か大事なモノを失うような、嫌な予感。
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