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俺は世話をやくのが好きかもしれない。
自他共に認める、ボランティア精神旺盛な男だと思う。
基本、何かをしてもらいたいからという理由で世話をやくこともない。
気がつくとやってるだけ。
静華には…勝手に尽くしてしまいそうだ。
静華は3日に1回は泊まっていってくれる。
俺の部屋には静華の歯ブラシや着替えなんかが置かれて、食器も2つ揃えたものを買ってきたりで。
これで別れたら、俺、どうなるんだ?というような部屋になってきた。
いや、別れる兆しはまったくもってない。
静華はどんどん積極的になってきて、俺にべったりくっついてる。
「…静華、動きにくい」
って、俺が言うほどに。
俺は静華に腰に抱きつかれたまま、飯を作っていた。
「だって、なんにもお手伝いできないんだもん。お茶淹れる?」
静華は俺を見上げて、子犬のように俺になついたような目を見せる。
…かわいい。
尻尾が静華についていたら、思いきり振ってくれていそう。
なんかラブラブ、いちゃいちゃカップルだ。
今すぐベッドに転がして、かわいがりまくりたいっ。
千明ちゃんもかわいいけど。
篠原が静華と別れた理由なんて、本当になかっただろうと思う。
あまりになついてくるのが理由…にはならないだろう。
「お茶お願い」
「はーい」
頼むと気持ちよく笑顔で返事して、簡単に離れていくから。
外でもべたべたしてくるということもなくて、適度な距離をもってくれる。
たまに不意打ちのように、見送りの駅で唇にキスしてくるけど。
まったくもって嫌じゃない。
顔、美人系だし。
スタイルも悪くないし。
中身もいい子のような気がするし。
セックスも俺を喜ばせようとしてくれるし。
なんで他の男に拾われなかったのか、俺には不思議だ。
知れば知るほど不思議。
「静華が積極的にアピった男っている?」
「篠原くんと一夜さんかな?どうして?」
「その一夜さんってどんな人?」
「えっと…、高校2年の時に目の前で事故があって、車に閉じ込められていて、車燃えてて、必死で助けたかっこいいお兄さん。片足なくなっちゃったけど、優しくて明るくて面白くて、かっこいいよ?」
静華の狙うところが悪いんじゃないだろうか?
静華も慈愛精神旺盛っぽい。
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