Make love(Tubasa)

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篠原の気持ちが聞きたいと言ったのは俺ではある。 あるけど、なにか純情っぽいものを見せられて、些か不機嫌にもなる。 いや、それでいいと言えばいいけど、 おまえ、それ、俺に喧嘩売ってるのかと思うような。 静華が俺に見せてくれているように、篠原に犬みたいになつきまくれば、どんなに篠原が嫌だという態度を見せてもなつきまくれば…。 可能性ありまくりだろっ! 「今の篠原の気持ちは?」 俺は不機嫌になったまま聞いてやった。 「静華が幸せならそれでいい。俺は…傷つけてばかりだ。静華のことも…千明も」 「なぁ、千明ちゃんを選んだ理由は?」 「どっちかを選ばなければいけなかったから」 篠原は俺のほうを見て、当たり前のように答えた。 理由はない。 俺にはそう聞こえた。 それでも選んだ。 選ぶしかなかったから。 「……静華、かわいいのにな。従順でまっすぐで」 「だろ?突進かますくせに、引くとこ引いてくれる。…好きだった。俺は静華に捕獲された。今思えば、捕獲されたかった。…また捕まえられて首輪でもつけられれば、逃げることは俺にはできないだろうけど…、もう俺を捕まえようとも思わないんだろうな」 俺より静華をよくわかっているかのように篠原は言って。 「静華が篠原に戻ることはないって言ってる?」 聞いてみると、篠原はその目を一度伏せて、口元に笑みをのせた。 「静華ってわかりやすくないか?クリスマスのとき、おまえをかばっただろ?俺を止めるじゃなくて」 篠原はそれが静華の答えだとでも言うように言った。 篠原は静華に押されれば、また部屋をうさぎだらけにできるくらいのものはありそうだ。 千明ちゃんに一途を見せてはいるけど、千明ちゃんの篠原を見て思うものに合わせてみても、篠原の中では一生続く記憶。 塗り重ねることもなく、まったく別のもののようにおかれた記憶。 もっと月日がたてば、セピア色に色褪せそうな記憶。 俺はそれを踏まえて、静華とのつきあいを考えてみる。 …俺を篠原からかばうように抱いた、静華の腕。 好きだった。 篠原の声がやけに耳に残った。
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