双子

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私の通う高校は私立の女子校で。 イチの通う高校は私立の共学だ。 イチは自分の家から近くて自転車で通えるところを選んで、私は電車通学なるものに憧れて、わざわざ電車で通うところを受験した。 別に公立でもよかったけど、私もイチも勉強はできるほうであり、運動もできるほうであり。 我が家のお父様はそれなりに稼いでくれる人だったから、遠慮なく、自分の行きたい高校を選ばせてもらった。 自転車で通学もいいなと、毎日の満員電車に揺られることを思うと思える。 しかも私は外見、けっこう男っぽいのに、スカートが制服だ。 視線を感じれば、だいたい私の足元、スカートを凝視されていることが多い。 痴漢どころか、何か引いた様子で見られるあの視線がなくて、イチの制服は居心地いい。 イチの学校は知っている。 自転車置き場も何を迷うでもなく辿り着いた。 が。 そういえば私はイチの下駄箱も教室も知らない。 誰か見知った顔がないかあたりを見回してみても、中学でのイチの友達の姿は見えない。 やばい。いきなりピンチだ。 ここは朝の登校途中に転んで頭をぶつけて記憶喪失になったみたいですと職員室にでも駆け込むべきか? 私は悩みながら人の波に乗って、昇降口へととりあえず歩いてみる。 「篠原くん、おはよー」 不意に背後から女の子の声がかかって、私は恐る恐る振り返る。 かわいい女の子がにこにこと私に笑いかけて、下駄箱へ向かう。 高校1年の1学期。 苗字を知るのは同じクラスか特別親しくなった人だけ。 更にはイチは女の子が苦手だ。 これは絶対に同じクラスのはず。 私はそう考えて、その女の子についていくように歩く。 女の子が上履きに履き替えるそのすぐ近くにイチの下駄箱発見。 感謝だ。笑顔の素敵なかわいい女子。 これが本来の私なら、その彼女に抱擁の1つでもして感謝をするところなのだけど。 今の私はイチのふり。 挨拶も返さず、靴を履き替えて、女の子のあとをつけるように教室へ。 さて、席はどこだろう? こればかりは尾行してもわからない。
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