いじめられっ子の私

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その人はサッカーをしていた。 学校のグラウンドで声を上げて走っていた。 私は6時間目の後、なかなか迎えに現れないお母さんにうんざりして、花壇のわきのコンクリートに座っていた。 正面に見える奥のグラウンドで、その子は一人だけ輝いているように見えた。 男の子たちは、昼休みと放課後に毎日サッカーをしているようだった。 それを知った私は毎日、お昼休みは教室の窓から、放課後はフェンスの後ろから、その子を見つめるのを日課にした。 友達がいなくて暇だから忘れたりしないけれど、決して忘れたくない日課だった。
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