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「地震、そんなに酷いの?」
「詳しい情報はまだ入っていませんので、ただ大阪空港には、さほど被害はない模様です」
「では、何故着陸できない」
「緊急発着路になりまして……」
「もっと詳しく話して下さい」
「神戸の方が……まだ詳細は、申し訳ございません」
CAに神戸の方と聞いて剛士は娘と妻の安否が気になり始めた。
〔緊急発着路? 地震で? 〕
パソコンを取り出してネットにアクセスする。
「お客様、間もなく着陸態勢に入りますので」
CAにパソコンを仕舞うように注意を受けた。
〔頼む、無事でいてくれ〕
見えて来ない現実が剛士の不安を煽り始める。
理解出来ることは、かなりの被害があると言うことだった。
現に大阪空港が緊急発着路になっている事実が、剛士の仕事柄の感をフル回転させていた。
〔政府が動いている……まさか神戸は壊滅か?〕
ふと、窓越しに外を見る。
自衛隊の輸送用ヘリが三機、剛士の目に飛び込んできた。
編隊を組みながら、剛士の視界から消えていく。
西へ飛行していった自衛隊のヘリ。
向かう先には神戸がある。
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