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けっこううちの大学って広いと思うねんけど、
学部4つもあるし、
けっこう学生おるはずやのに。
なんで会うかな。
なんで見つけちゃうかな。
大学のちょうど真ん中に噴水があって、
そこで待ち合わせとかする学生も多い場所。
待ち合わせしてないのに会ってしまったという不思議現象。
「…何?」
「…別に」
口尖らしてじとっとフクを見たら
「なんやー。新しい顔芸かと思ったー。あはは」
やって。
あははちゃうでほんま。
けど、
きゅん。
笑顔ひとつできゅんとかわいらしい音たてる心臓が憎らしい。
「あ、柴さんやん」
「雨宮くん」
フクと一緒に、数人の男子がおって、何人かは顔見知り。
その内の1人の雨宮くんが
よっ、て片手上げたから
あたしもそれに習って
よっ、て返した。
「みんなで何してんの?」
「アイス食べてる」
「涼しそうなことしてんなぁ」
「食べる?」
そう言うて雨宮くんがアイスをあたしに向けた。
「え」
「おいこら雨宮!」
「お前なに間接チューねらってんねん!」
あたしが何か言う前に
周りの野次の方が先やった。
雨宮くんとはゼミが一緒。
フクとは1年生の時から知り合いやったみたい。
雨宮くんって、
別に悪い人ではないんやけどー…
「いいやん。だってオレ柴さんめっちゃスキやし」
…めっちゃ軽いんですよねー。
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