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「あの、男子バレー部のマネージャーやりたいんですけど」
それまで体育館に響いてたボールの音がピタっと止んだ。
「…あ、そう」
土曜日の体育館は、バスケ部とバレー部が半分こ。
やからバレー部は女子と男子で時間を前半と後半に分けて交代で使う。
今日は女子が前半で、もう練習終わったけど男子が準備してる間の時間に、フクとボール使ってパスの練習をしてた。
周りには男子いっぱい、
女子あたしだけ。
なぜ故あたしに?
「…あ、ごめんマネージャーちゃうねん」
「?」
真新しいブレザーを着た小柄な女の子にそう言うと、
今度はその子が首を傾げた。
「えっと、マネさんに言うたらいいんですか?」
「いや、部員でもええと思うよ~」
「?先輩はバレー部の方じゃないんですか?」
「……」
その瞬間、ドワッと体育館の中が沸いた。
フクなんか笑い転げてる。
「?」
みんなの様子見て、ますます首を傾げる新入生。
「あはは!陽花お前最高やなー!!」
「……」
高校3年の春。
“男”に間違えられるのは
これが初めてじゃなかった。
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