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「え?そう?ナツもおらんくない?」 「昨日できたって!」 「まじで~!私聞いてへんって!」 今度詳しく聞き出さんな~ とか言うてる雪絵。 そんなのん気なこと言うてる場合ちゃうねん! 「ナツもさっちゃんもゆっこも、えりちゃんも山ちゃんもつっちーも!」 そう、あたしの普段から一緒によく集まって遊ぶメンバー全員が、 「ほんで雪絵も! あたし以外みんな彼氏持ちや――ん!!」 気づけば一人もんはあたしだけ。 大学3年生の夏間近、 これは… むっちゃくっちゃやばい!!! 「さみしい…!これは寂しすぎる!もうみんな遊んでくれへんのちゃん!?お昼も彼氏といちゃいちゃすんちゃん? お昼一人やん! どうしよあたし!ピンチ!激やば!!」 「いやいや毎日一緒にお昼食べてるやん」 「けどさーけどさー」 駄々こねるみたいに同じこと繰り返すあたしに 雪絵が言ってはいけない一言を言うた。 「てかさ、あんたにはフクちゃんがおるやん」 「!」 あたしの反応に雪絵が首を傾げた。 「ハル?どうしたん?顔ぶっさいくやで?」 「生まれつきです。ほっといてください」 「?なに、なんかあった―…」 「陽花――!」 …噂をすれば何とやら。 大学で唯一あたしの本名を呼ぶ声。 「あ、フクちゃん」 「ちっ」 くそう。 何でこのタイミング。
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