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「それで君は僕に何か要があるのかな」
大きな段ボール一杯の荷物を自分の側に置いて先輩は、そう私に尋ねてきた
「ええとお」
手に持った鞄から大事な物をがさごそと探して見る
何処にしまっかなあ
ちらりと先輩の顔色を伺うと
私の様子を見ていたのか、先輩は暗い表情をしていた
見損なうような
そんな顔をしている
何か悔しい
「その鞄、色々とゴチャゴチャ着いているよね」
鞄?鞄の事?
「え、えぇアーシェらの中ではこれが普通ですよ」
「普通ねぇ」
「僕には理解出来ないけど」
眉毛を吊り上げたままそう言う
「理解したくもない」
何でだろ
コイツの声を聞くとイライラする☆
「人は理解出来ない物には恐怖を感じるらしいですよお」
「恐怖は崇拝か憎悪をもたらすって有賀先輩が言ってました」
「有賀さんねぇ」
先輩は困ったような顔になった
あった入部届け
パチン
鞄を閉め金具を止めて
中腰だった姿勢からしゃんと立ち上がる
「入部届けです」
「有賀さんの紹介かい」
「そうでえす」
軍隊の敬礼の姿勢で舌を出したのはちょっとした愛嬌のつもりだ
嫌味ではない
悪しからず
悪しからず
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