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一緒に入ってきた先輩は一番近い席に私を案内し、その席の隣に大きな荷物を置いた。
「ヤイショ」と
そう声をだしながら
先輩は椅子に腰かけフウーとひと息ついて、そして横にたむろしている部員達に話かける
ボブカットの先輩はまだ有賀さんの話題が出たときと同様に眉毛を八の字にしていた
有賀さんが彼の前に姿を表した時彼の眉毛はどうなってしまうのだろうと
ふと私はそう思った
先輩らの話が気になったので
私は聞き耳を経てると
「嫌になっちゃうなあ」
「だって誰も手伝ってくれないんだもん」
嫌味である
「…」
耳に入るのはカチャカチャと携帯ゲームをいじる音だけ
誰も何も言わなかった
誰も答えないと私は思った
誰も答ない
もしかしてボブカット先輩は彼らから嫌われているのかと思っていた頃
『仕様がないさ』
声がした
私は仰天する
学ランの上からパーカーを来た少年が「しょうがないさ」と言った時
体中がビクンと震えてしまった
寒気がした鳥肌が立った
この静けさの中で急に声が聞こえてびっくりしたのではなくて
少年の発した声の質が窮めて異質だったからだ
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