泰山か或は鴻毛か

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私の顔を見た途端声を発した少年は 参ったと言い足そうに手を挙げ 手帳とペンを取出し キュキュと手帳のページに文字を書いていく 【悪いね】 【君のように】 【恵まれた】 【体には】 【僕は】 【僕は】 【生まれて】 【いないんだ】 【声が】 【生まれつき】 【人に不快感を】 【与えるように出来ているらしい】 日本人にとって青というのは食欲を減退させる色であるらしい つまり青色の食べ物は食べてはならないという古の時代からの警告なのだろうと私は思った 英語は支配下の措いた植民地の国にでも意思の疎通が出来る為に無駄で余計な物を廃除したように つまり彼の祖先はもしくは彼は、人と話す事を拒絶した形であるように、進化する過程で彼は生まれたのか 【声が生まれつき人に不快感を与えるように出来ているらしい】 彼の遺伝子は無駄で余計な物だとしたのか 人との会話を 「………」 いやそうじゃない それならばぶっちゃけった話声帯か喉仏をなくせば済む事だ ではそうしなかったのは もっと単純に もっと純粋に もっと生粋に 拒絶 人との関わりを人との繋がりを断ち切ったのだ彼の遺伝子は 無駄な物だったのだろう 余計な物だった不要で邪魔な物だったのだろう そう判断したのか
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