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この現国王(禿)が中心とは思えないが水面下で何かしら行動していることは確か。巻き込まれた以上、何が起きているのか知る必要が僕にはある。
「……何から話せばいいのやら」
「洗い浚いだ。隠し事をすれば命は無いと思え」
彼女を突き付けるまでもない。喉を鳴らした国王は観念した様子で溜息を吐いた。さっさと話し始めろ。
「三年前、幾つかの国宝がこの城から盗み出された。君の持つジャンヌ・ダルクとサクリファイスはその中にあった」
三年前。あの忌まわしき事件まで関係しているのか。
「当時から私は叔父上が国王であることに疑問を抱いていた。国宝に尋常ではない執着していた叔父上の大人しさに何かしら裏があることを悟って独自に捜査した結果、ある一つの組織の存在が浮かび上がった。驚くことに、国王自身の懐から出資を受けていただけでなく帝国とも繋がりがあることが分かった」
そう言えば国王(禿)が僕を勧誘したとき推測から帝国の名を出した覚えがある。的外れと言う訳でもなかった。
「大魔術は分かるね?」
「……複数人が同時に同じ願いの魔術を行使することで魔法に匹敵する力を発揮する魔術の最終形。ついさっき使わせた」
「組織が行っていたことは何か。それは大魔法の研究だった」
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