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かつて剣道場に通っていたこともあるのに、光の剣技は汚いというか拙いというか餓鬼のそれに等しい。はっきり言える。たとえ願具を装備していなくとも回避できそうだ。
何が言いたいかと言えば、今の阿修羅はそれ以下の存在で、残りの腕も全て切り裂かれ胴に一文字の無残な姿へ変貌する。すっきりした。
「何だか呆気ないね」
「魔法使い相手に常識は通じない。魔法使い同士でもな。僕とこいつの相性がすこぶる悪かったこともあるが……、勝てる奴なんざ世界中を見渡しても見つからねぇよ」
この世界は魔術に、願いによって支えられている。そいつを喰われちまうんだからどうしようもない。願いが糧であれば、魔法ですら意味を成さなくなる。僕の死と破壊の願いを喰らいながらも生きていたことが何よりの証だ。
それらのことを考えると光がいなければこの世界は終わっていたかもしれない。あのくだらない貴族の餓鬼一匹の所為で、世界滅亡の一歩手前まで辿り着いてしまった。恐ろしい。
赤い血を噴き出し痙攣する阿修羅へ恐る恐る近寄っていく。死んでいてくれればそれでも構わないが、もし生きているなら聞いておきたいことが幾つかあるのだ。
「おい、生きているか怪物」
「ワレハ夢喰イ。死ナヌ、死ナヌノダ」
「元気だこと」
身体はズタボロで動くことも出来ないくせに、口はでかい。不愉快の一言に尽きる。気晴らしに四散している腕を一本踏み砕いた。死に行く化け物に情けは掛けない。
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