死神

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 疲労が濃くなる感覚が消え失せていることに気が付く。僕はこいつの魔法だと考えていたが、真っ二つに割れた冠を見るに願具の能力だったようだ。そのままならば間違い無く国宝級の代物だったろうに、壊れてしまっては意味が無い。がらくた。 「光、あれ取ってきてくれ」 「ん、了解」  光にサクリファイスを取りに行かせ再び夢喰いに向き直る。息も絶え絶え、人間ならば間違い無く死んでいるだろう。 「おい、生きてんなら質問に答えろよ。お前さんが敗者である事実は変わらんのだし」 「……」 「お前の元になった三人、あの白衣の男は一体誰だ」 「ワレガ知ル道理ガ無イダロウ。ワレノ中ニハ無イ」 「それもそうだ、悪いことしたな」  僕は渾身の力を込めて夢喰いの頭を踏み付けた。頭蓋骨には罅が入っていたのだろう、特に抵抗も無く頭は砕け胴が一瞬の痙攣を起こすもそれ以上動くことは無かった。一件落着。  塵となり霧散していく阿修羅。あれだけ絶望的な強さを持つ存在も終わりは呆気無いものだ。残されたのは割れた冠と装飾過多なチャンピオンベルト。ベルトだけ明らかに浮いている。 「光、校舎で待機している奴らにもう大丈夫だと伝えてこい。僕は街の方に行ってくる」 「ん、分かった。彩人、話は後でじっくりとしよう」 「こっちの台詞だ阿呆」 .
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