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「分かった。俺、もっともっと、頭使うよ」
そう言って光は僕の両手を胸の前で包み込んだ。馬鹿阿呆間抜け主人公がッ! そんなことしたら止血できないだろうが!!
ああ、僕はこいつに殺される。
「……死にたくない」
「え?」
「死にたくねぇ」
……駄目だ、頭に血が行かない所為か眠くなってきた。まずい、寝たら死ぬ。死にたくない。
僕には、細やかな願いを叶えることすら許されないのか?
視界がゆがむ、きもちわるい。
なにもかんがえられなくなっていくこれがこれが死ぬ死ぬ?
僕は死ぬ死ぬ死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死死。
死にたくないしにたくないしにたくないしにたくない。
僕は最期の力を振り絞り、光の胸ぐらを掴んで引き寄せる。
「彩人?」
「僕は死にたくない、死にたくなかった、でも死ぬ、死ぬ、死ぬ」
お前の所為で。それだけが喉を通らない。通行止めされている。
「死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない…………」
言いたいことの半分も言えず、力が唐突に抜け落ちた。手が腹に落ちる。最早痛みもない。
血溜まりが視界に入る。分かり易い程に出血多量。
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