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朱鳥は全力疾走したためなんとか朝御飯の手伝いに間に合うことができた。
台所に獲って来たものを置いていると
「この短時間でこれだけ獲って来るなんて凄いね。」
と井上が誉めてくれた。
朱鳥は獲ってきた魚を焼きながら蕗の薹の和え物を作り、井上はご飯を炊きながら味噌汁を作ったことによって早く終ることができ
早速膳を運んでいた朱鳥に藤堂が自分も手伝うと声を掛け井上と三人して膳を運んだ。
そして全員が一つの部屋で近藤の号令により朝ご飯を食べ始める。
「おっ!この蕗の薹の和え物うめぇな。」
「ちょっ、佐之さんわざわざ人の朝飯奪って言わないでください!」
「そんなこと言ってるとこの魚も奪われるぜ。」
「新八さんも…俺の朝飯がなくなっちゃうじゃないですか!」
恒例の三人の朝ご飯の奪い合いを眺めながら朱鳥が黙々と食べていると
「この蕗の薹と小魚、とても美味しいですよ。朱鳥君は料理も上手いんですね。」
と山南から誉めてもらえたので
「ありがとうございます。」
と返して、どの辺で獲ったなどを話していると
「これ朱鳥が作ったんですか!」
と沖田が話し掛けてきて
「はい、そうですけど?」
と返すと、沖田は蕗の薹の和え物を箸でつまんでジッと見た。
「僕こんなに蕗の薹を美味しいと思って食べたの初めてですよ。」
「総司は野菜とか好き嫌いが多いからな。」
「こ…近藤さん、今それを言わなくてもいいじゃないですか!」
どうやら沖田は好き嫌いが激しいらしい。
朱鳥はそのやり取りを聞いた後に
「好き嫌いはいけませんね、特に野菜…もういい歳なんですから。」
「朱鳥まで…、歳扱いしないでくださいよ。それに朱鳥の方が大人っぽいじゃないですか。」
この沖田の発言に朱鳥は黒いオーラを放ち、しかし顔は満面の笑みで
「沖田さんの方が私より少々子供染みているということですよね?…ふふっ、そんな沖田さんの為に明日は新鮮な野菜を入手しないといけませんね。」
と言ってから「それとも今日の晩御飯にだしましょうか。」と呟いた朱鳥は目だけは全く笑っていないため、さすがの沖田も額に汗をかき
「あの…なんか…、ごめん朱鳥。でも野菜は…えーと…。」
あまりの黒いオーラに沖田は口ごもる。
それを見て朱鳥は満足したのかいつの間にか普通の笑顔に戻っていた。
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