はなよめさん

4/12
前へ
/12ページ
次へ
あたしがチューハイの缶を4本ビニール袋に下げて晴輝のアパートのチャイムを押すと、彼はすぐにでてきた。 「おつかれッス」 「…ん。」 晴輝は泣きつかれて無愛想なあたしの手をひいて中へ入った。 *** 「「乾杯」」 カチン チューハイの缶どうしがぶつかって小さな音を鳴らす。 ゴッゴッゴ 「プハあー」 あたしはみんなの前では見せない勇ましいのみっぷりを見せた。晴輝の前では素になってしまう。 「美雨、相変わらずオヤジみたいな飲みっぷりだよなぁ」 晴輝は笑いながら桃チューハイを一気に飲んだ。 あ、やばい。一気に飲んだら酔ってきた…そーいや飲み会でも飲んだような… 「ゆーき先輩のばっかやろー!!」 「あたしをふるなんてどーいうつもりだー」 気がつくと立ち上がって叫んでいた。 「そーだそーだー!美雨をふるなんてバカなヤツだー」 晴輝も立ち上がって叫んでいる。 「俺もなぁ~百合さんに、昨日振られたー!!ばかやろー!!」 えっ??百合さんって晴輝がずっと大好きだった人だよね… 晴輝も失恋してたんだ… うちらは同類だったんだ。 「そーかー晴輝も飲め飲めー忘れろ忘れろーぉ」 あたしは晴輝に梅酒を渡した。 「飲む飲むー!!美雨も飲め飲めー!」 晴輝はあたしにほろよいラムネサワーを渡した。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加