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話し始めると、あっという間に旅館に予約を取ってくれて、僕は一日休みを取って行く事にした
「これでOKです!」
『うん、ありがとう‥楽しみだね』
「はいっ」
そして旅行の計画を立てているうちに、あっという間に彼が帰る時間になっていた
僕は今日もエレベーターまで送る
『あっ、ちょっと待ってて』
玄関まで戻って、持ってきたのは傘
『もう今日は、濡れて帰らなくてもいいでしょ』
そう言うと少し照れくさそうに、はにかんで見せた
「三上さんは傘大丈夫ですか?」
『うん、予備あるから』
「じゃあ、お借りします‥また明日、返しますね」
ドアの閉まったエレベーターを見ながら心の中で繰り返す言葉
“また明日”
この言葉が僕の心に、どれだけ響いてるか‥君は分からないよね
毎日この言葉を聞くたび胸がジンと熱くなる
雨に濡れたいのは、僕も同じ
あの日を思い出すから
やっぱり僕達にとって雨の日は普段と少し違って特別
だって本当は僕も今日、濡れて帰ってきてたんだ
だから濡れた彼を見た瞬間、笑ってしまった
そして部屋に戻り、一人で呟いた
『あぁ‥温泉、楽しみ♪』
おしまい
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