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アケミと言う名前は本当かどうかわからなかったが、彼女にはよく似合っていた。
明るくて美しいと書いて『明美』。
本当に彼女はそうゆう女性だった。
出されたコーヒーカップを両手で抱えたまま黙っていた私に、アケミは自分の事をたくさん話しだした。
母親にできた男が、母親のいない間だけ優しいからなんでだろうと疑問に思って母に尋ねたら、顔が腫れ上がるまで殴られ、家を追い出されたと笑って話した。
今思えばそんな母の女心が分かるし、相手の男になにかされないでいただけマシだったとアケミは話したが、母親が男から自分を守るために幼い自分を遠ざけたと思いたいと言う気持ちが込められているようでもあった。
アケミは14歳でたった一人になった。
生きるすべを知らないアケミは、笑顔でよってくる大人に着いて行くしか生きる方法がわからなかったと言った。
だから私を見て、放っておけなかったとも言った。
きっと私が想像もできないような怖い目や嫌な目にあってきたんだと思う。
なのにアケミの笑顔はなお純粋で清らかささえ感じた。
今はそんなアケミを見兼ねて世話をしてくれる人に出会ったという。
アケミが勤めている店のママだ。
アケミは装飾品と綺麗な髪飾りを鏡の前に置くと、背中の大きく開いたドレスをスルリと脱いだ。
色白で滑らかなアケミの肌は、触れたら溶けてしまいそうなほど綺麗だった。
『綺麗……』
初めてあった私の前で、無防備にも下着姿になったアケミに、私はつい見とれて言葉を出してしまった。
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