家出

10/10
前へ
/21ページ
次へ
アケミの私への優しさが溢れていた。 恥ずかしかったが、アケミが以前そうしたように、男の身体である女の私は、アケミの前で着替えた。 初めて着る女の子の服は、今まで来てきた安物の男物の服より、はるかに機能的ではなかった。 サイズはぴったりなのに、どこか窮屈で…。 でも、そのシルエットはとても素敵だった。 『アケミ…私これが似合うような女性になりたい…』 『うん…。』 凛としたスーツに、私のゴツゴツした身体や茶色のウィッグは不釣り合いだったけど、私はやっぱり女性なんだと核心した。 いつか黒髪を結って、パンプスを履いて仕事に出かける…… そんな女性を夢見ていた。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加