故郷

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純は22歳で結婚して、去年娘が産まれた事をそう遠くない家路に着く前に自慢するからとゆっくり走った。 私のためなのが痛いほど分かる。 純の奥さんは親戚の法事でたまたまこの土地にきた女性だったようで、きっと義理の妹とも知り合いだろうと思っていた私は少しホッとした。 純は自分の奥さんをこの世の物とは思えないぐらいの美人だと恥ずかしげもなく言った。 『二度と会えないと思ったら、一目惚れした!結婚してくれ!って土下座をしてたよ。もう俺の愛する人と会えなくなるのは嫌だと思ったんだ…。俺が守ろうって。ま、最初はフラれたんだけど(笑)』 『お前が家出したおかげで俺は美人の嫁にアタックできたのかもな』 純は優しい。 きっと私を守れなかったと後悔しているんだろう。 違うんだよ、純。 15歳の純も私を守ってくれていたよ。 私の代わりに殴られてくれた。 私の初恋を応援してくれた。 純…あなたがいたからあの時の私は生きていられたんだと思うよ。 日が沈みかけた頃、私たちの乗った車はエンジンを止めた…。
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