故郷

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ただいまと言う事が正しいのかどうかはわからなかったが、母のお帰りなさいと泣き続ける声に、ただいまと応えると、純に支えられながら私たちは家へ入った。 庭には純一家の家が建っていたが、私が産まれ育ったこの家は、この町と同じく時を止めたように変わらなかった。 嬉しくもあり、気が重くもなる。 私が逃げ出した場所。 高校二年の3月。 初恋だった先輩の卒業式の日、私はこの家を出た。 高瀬 涼 として。
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