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憎くて、憎くて、死ねばいいと思ってた
なぶり殺しにする上で、もはや良心なんて動かされる筈も無いと思ってた
虜にしてから打ち明けてやろう。全部失った上で死んでくれ…って。
「ジン、ご飯できたから食べましょ」
いつしか芽生えた感情と憎しみの距離は、どんどん近くなってった。
「今日も豪華だな」
このところ仕事を定時に切り上げ、弱りゆくジンのの夕食を作り始めている。
もう、長くはない命を丸で惜しむように
一体、私は何がしたいんだろう…
作り上げた愛情と消えゆく命に。
目的以外の何を…
「ジンはね、栄養偏りすぎなのよ。まともな物を食べさせてられる時に食べさせとかないと」
自分ですら分からない。
向けた笑顔は本物なのか偽物なのかすら。
うんと愛したフリをして、反吐が出るような台詞も吐いた。
もう、準備は整った。
裾から覗くジンの手首は、女のように細くなっていた。
何故、そこから目を逸らしたくなる?
ジンが持ったナイフの震が視界に入った。
現実を突きつけられる新たな症状。
気付かれまいと持ち変えたフォーク…不意に交錯した視線。
この時、私は確かに絶望を味わった。
咄嗟に取り繕う、笑顔。
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