―第三話―

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慎太郎「病気になったことを…神様に感謝してるって。」 半平太「神に?」 神というとキリスト教みたいな感じになるけれど、あやめさんの時代ではそういう宗教信仰の偏見とかはないらしい。 半平太「…神に…ね。」 慎太郎「何でですかね。あやめさんは毎日苦しんでるのに…」 半平太「……お前は鈍感だな。」 唐突に“鈍感”と言われ、驚いた。思わず武市さんの顔を見る。 慎太郎「鈍感って…どういう意味ですか。」 半平太「そのままの意味さ。お前は鈍感だ。…そんなあやめさんは、幸せだ。」 慎太郎「武市さんまで、何ですか?」 半平太「ふふ…自分で考えろ。」 ぶ、不気味に微笑む武市さんは、正直恐ろしい。でも武市さんの笑みは愉快そうなものだった。 陵安「お調べが終わりました。」 あやめさんの部屋からお調べを終えた陵安殿が俺たちの部屋に入ってきた。 慎太郎「お疲れ様です。それで、あやめさんはどうですか。」 陵安「病気というほど、病気ではありません。ただ…」 慎太郎「ただ…?」 俺はそのあとの言葉を待った。
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