87人が本棚に入れています
本棚に追加
お調べが終わって、慎太さんが部屋に入ってきた。
慎太郎「あやめさん、体の具合は?」
あやめ「私は、大丈夫だよ。……けほっけほっ…!」
慎太郎「あやめさんっ!」
慎太さんが私の体をそっと布団に寝かしてくれる。
あやめ「…はぁ…ありがとう。それより、どうしたの?」
慎太郎「どうしたも、陵安殿のお言葉で、誰か側にいて看病した方がいいって。だから、俺が。」
あやめ「そっか、先生が……。」
やっぱり、慎太さんは優しいな。
慎太郎「それより、どうして言ってくれなかったんですか?」
あやめ「え…言うって?」
何のこと?
慎太郎「喘息のことです!いってくれたら、以蔵君の稽古なんて無理なことさせなかったのに!」
あやめ「あぁ…それなら、いいんだよ。私の喘息は軽いものだし、運動しても酷くならないから。むしろ、剣道やったから、その心配がなかったんだし。」
それに、小さい頃に大分完治してたんだから。
慎太郎「でも…。」
あやめ「でもじゃないです。大丈夫だってば。お薬ももらったし。」
慎太さんは心底心配な顔をして私を見つめている。私は微笑んで、なだめてあげる。
あやめ「そんなことより、お粥食べたいな。」
慎太郎「あ…はいっ!俺が作りますっ!」
そう言って慎太さんは立ち上がった。
あやめ「そうだ、ねえ、慎太さん。」
慎太郎「なんすか?」
あやめ「ウィルスって…知ってる?」
慎太郎「う、うぃ…るす?何ですか、それ。未来の食べ物かなんかですか?」
あやめ「あ、知らないならいいんだ。ありがとう。」
慎太さんは少し不思議そうな顔をして部屋を出た。
…やっぱり、知らない。
とすると、陵安先生は未来の人と繋がっている。
これは、確実だ。
最初のコメントを投稿しよう!