―第四話―

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お調べが終わって、慎太さんが部屋に入ってきた。 慎太郎「あやめさん、体の具合は?」 あやめ「私は、大丈夫だよ。……けほっけほっ…!」 慎太郎「あやめさんっ!」 慎太さんが私の体をそっと布団に寝かしてくれる。 あやめ「…はぁ…ありがとう。それより、どうしたの?」 慎太郎「どうしたも、陵安殿のお言葉で、誰か側にいて看病した方がいいって。だから、俺が。」 あやめ「そっか、先生が……。」 やっぱり、慎太さんは優しいな。 慎太郎「それより、どうして言ってくれなかったんですか?」 あやめ「え…言うって?」 何のこと? 慎太郎「喘息のことです!いってくれたら、以蔵君の稽古なんて無理なことさせなかったのに!」 あやめ「あぁ…それなら、いいんだよ。私の喘息は軽いものだし、運動しても酷くならないから。むしろ、剣道やったから、その心配がなかったんだし。」 それに、小さい頃に大分完治してたんだから。 慎太郎「でも…。」 あやめ「でもじゃないです。大丈夫だってば。お薬ももらったし。」 慎太さんは心底心配な顔をして私を見つめている。私は微笑んで、なだめてあげる。 あやめ「そんなことより、お粥食べたいな。」 慎太郎「あ…はいっ!俺が作りますっ!」 そう言って慎太さんは立ち上がった。 あやめ「そうだ、ねえ、慎太さん。」 慎太郎「なんすか?」 あやめ「ウィルスって…知ってる?」 慎太郎「う、うぃ…るす?何ですか、それ。未来の食べ物かなんかですか?」 あやめ「あ、知らないならいいんだ。ありがとう。」 慎太さんは少し不思議そうな顔をして部屋を出た。 …やっぱり、知らない。 とすると、陵安先生は未来の人と繋がっている。 これは、確実だ。
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