―第四話―

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【主劇・あやめ】 あやめ「…遅いなぁ……。」 慎太さんが買い出しに行ってもう二刻ぐらいになる。 日はすっかり西に傾いた。 あやめ「…あー寒いっ!」 私は布団に潜って、目をつむった。 …… あやめ「…暑い。」 今度は逆に暑くなっちゃった。 それはそうだ。初夏だもんね。 あやめ「…いたっ。」 パチッ 私は自分の首を叩いた。 叩いた手には蚊がつぶれていた。 やだ、刺されちゃった。 私はバックから手鏡を取り出し確認してみた。ポチッと腫れて、赤くなってる。 あやめ「もう、痒いんだから。」 … 掻こうとした手を私は引っ込めた。 あやめ「ダメダメ。掻いたらひどくなるわ。」 …… …………んー! あやめ「やっぱダメ!我慢できないっ!」 私は思いきって刺された部分を掻いてしまった。 あ~……気持ちいい。 慎太郎「あやめさん、入りますよ。」 あやめ「あ、どうぞー!それよりどうしたの?遅かった……」 ね… 部屋に入ってきた慎太さんを見て、驚いた。すごく真剣な顔をしていたから。 あやめ「ど、どうしたの?」 慎太郎「いぇ…あやめさん、大事な話ッス。」 大事な、話? 慎太郎「…旧幕府軍と新政府軍の、戦が起こります。」 あやめ「…えっ?」 旧幕府軍と、新政府軍の、戦。 私の頭の中に浮かんだ言葉はたったの四文字。 『戊辰戦争』
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