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【主劇・あやめ】
あやめ「…遅いなぁ……。」
慎太さんが買い出しに行ってもう二刻ぐらいになる。
日はすっかり西に傾いた。
あやめ「…あー寒いっ!」
私は布団に潜って、目をつむった。
……
あやめ「…暑い。」
今度は逆に暑くなっちゃった。
それはそうだ。初夏だもんね。
あやめ「…いたっ。」
パチッ
私は自分の首を叩いた。
叩いた手には蚊がつぶれていた。
やだ、刺されちゃった。
私はバックから手鏡を取り出し確認してみた。ポチッと腫れて、赤くなってる。
あやめ「もう、痒いんだから。」
…
掻こうとした手を私は引っ込めた。
あやめ「ダメダメ。掻いたらひどくなるわ。」
……
…………んー!
あやめ「やっぱダメ!我慢できないっ!」
私は思いきって刺された部分を掻いてしまった。
あ~……気持ちいい。
慎太郎「あやめさん、入りますよ。」
あやめ「あ、どうぞー!それよりどうしたの?遅かった……」
ね…
部屋に入ってきた慎太さんを見て、驚いた。すごく真剣な顔をしていたから。
あやめ「ど、どうしたの?」
慎太郎「いぇ…あやめさん、大事な話ッス。」
大事な、話?
慎太郎「…旧幕府軍と新政府軍の、戦が起こります。」
あやめ「…えっ?」
旧幕府軍と、新政府軍の、戦。
私の頭の中に浮かんだ言葉はたったの四文字。
『戊辰戦争』
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