―第五話―

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あやめ「――…戦って…」 慎太郎「闘いです。」 ……歴史の知らない私でも分かる。 『戊辰戦争』 旧幕府軍と新政府軍とのもっとも大きな闘い。 あやめ「…慎太さんも、行くの…?」 慎太郎「ぇ…。」 あやめ「慎太さんも、戦うのっ?私、嫌だよ!…ごほっ、ごほっ!」 慎太郎「あやめさん、落ち着いてっ!」 ひーひーと喉を細く鳴らす私の背中を慎太さんはさすってくれる。 慎太郎「落ち着いて!俺は行きませんからっ…!」 あやめ「…へっ」 慎太郎「それに、俺は実際どちらとも関係ありませんから。」 あやめ「あっ……そうなんだ。…よかったぁ。」 慎太さんが…死なないから。 慎太郎「あやめさん…本題はここからです。」 あやめ「…はい。」 慎太郎「恐らく、旧幕府軍は手も足も出ない。」 あやめ「つまり…?」 慎太郎「…江戸へ行きます。」 !!? あやめ「じゃぁ…薩摩を出るの?」 慎太郎「はい。恐らく、新政府軍は江戸を目指します。徳川を落とすため。その前に、俺たちが江戸で西郷さんたちを説得します。…戦いをやめるように。」 あやめ「…そっか。」 ―…薩摩を出る。 それは、とても合理的な結果だと思う。 でも…… 慎太郎「…あやめさん?」 あやめ「……慎太さん、私、ひとつだけ…ここで確かめたいことがある。」 慎太郎「確かめたいこと?」 私が確かめたいこと。 それは、 陵安先生のこと。 ずっと言うかどうか迷ってた。 …勘違いかもしれないし。 あやめ「…もしかしたら、陵安先生が未来の人かもしれないの。」 慎太郎「……未来の?」 あやめ「…まだ推測だけど。」 慎太郎「…確かめて、どうするんすか?」 あやめ「えっ?」
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