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突然慎太さんから思わぬ冷たい言葉が飛び出した。
慎太郎「…俺は、賛成できない。」
あやめ「…どうして」
頭を掻きながら慎太さんはこう続けた。
慎太郎「…今更、未来の人と会ってどうするの。」
あやめ「!」
ぇ…
慎太郎「会って、何かあるんですか。」
あやめ「……そ、それは…」
…何もないよ。
確かに、もし。
陵安先生が未来の人だとして、
何がある?
ナニもない。
そんなのわかってる。
あやめ「………」
慎太郎「…早いに越したことはありません。」
あやめ「…でもっ…」
慎太郎「…わかってます。あやめさんの気持ち。…二日ですよ。」
あやめ「……ぇ?」
唐突に出たある猶予。
慎太さんは少し寂しそうに微笑んでいた。
慎太郎「俺はなるべく、あやめの想いを尊重するよ。」
あやめ「…慎太さんっ…ありがとう……っ!」
ふ、ふぇぇ
慎太郎「ちょ、あやめさんっ?何で泣くんですかっ。」
あやめ「だ、だってさっきの慎太さん…恐かったし……、ふぇぇっ」
な、涙が止まらない。
慎太郎「……あやめ」
あやめ「!」
…キュッ
あやめ「…」
……キュッて。
私は慎太さんの腕の中にいた。
慎太郎「…ごめん。俺、あやめが大事だから。」
あやめ「…うん。」
慎太郎「大事で、大切で、たった一人の人だから。…無理、しないで欲しいんだ。」
あやめ「…うん。」
慎太郎「……ごめん。」
あやめ「…ううん。」
強く、優しく。
その腕は、まるで何かを守るように、
私を包んだ。
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