87人が本棚に入れています
本棚に追加
あやめ「まぁ、話と言っても私自身の話なんですけど…」
陵安「…いいですよ。」
あやめ「え…」
陵安「一度あなたとはお話ししなければと思ってました。」
先生…
あやめ「…ありがとうございます。」
私は深く頭を下げて、話し始めた。
あやめ「…私の家は、普通の一般家庭です。」
陵安「うん。」
あやめ「父と、母と。三人です。」
陵安「…うん。」
そのあとも、陵安先生は静かに、たまにはあいずちをうちながら話を聞いてくれた。
私は本当に普通の女の子で、普通に生活をしていた。
普通に友達もできるし、普通に幸せな生活を送ってた。
…普通に学校で勉強して、普通に放課後なんかはみんなで遊んだりした。
あやめ「…私、未来から来たんですよ。」
陵安「……うん。」
未来から来てたどり着いたのは、何にもない江戸時代。
最初はどうしようかと右往左往した。
耐えられない悲しみがあった。
でも。
助けてくれた、支えてくれた、
みんなに出会えた。
…慎ちゃんに逢えた。
私は後悔したことはない。
ここに来たこと。
家族や、友達を捨てたこと。
慎太さんと生きると決めたこと。
今の私は、最高に幸せなんです。
こうしてくれた、神様に感謝してます。
陵安「…そうか。」
あやめ「………」
気づけば私は少し涙ぐんでいた。
あやめ「…先生は、未来から来たんでしょ?」
陵安「……」
あやめ「…そうなんでしょ?」
ついに私は聞いた。
聞いてしまった。
でも、確信はあった。きっと、先生は未来の人だ。
陵安「…本当のことを言おうか。」
あやめ「はい。」
陵安「私は未来の人間なんかじゃないよ。普通の医者だ。」
…え?
最初のコメントを投稿しよう!