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小さくて、今にも崩れ落ちそうなボロい家が我が家だった。
そんなガタガタの扉を僕は精一杯開けた。
陵安「母上っ!ただいま帰りました!」
千代「お帰りなさい。まぁ、随分と顔を赤くして。」
母上は囲炉裏の奥に横になっていた。
顔には生気がなく、腕にはぐるぐると布切れが巻かれていた。
陵安「母上のために今日は上野まで行ったんだよっ!」
ほら、と袋一杯の薬草を見せる。
千代「まぁ、こんなにたくさん。ありがとう。」
優しく母上は僕の頭を撫でてくれる。
康長「傷の具合はどうだい?」
千代「傷ですか?…見ての通りですよ。」
母上は父上に包帯の腕を見せた。
康長「…少し見せてごらん。」
父上はそっと包帯をほどいた。包帯の下から現れたのは緑色の膿みにまみれた腕だった。
父は顔をしかめた。
陵安「…母上、悪くなってるの?」
僕も思わず不安な顔になる。
母上はそんな僕を見て笑顔で言った。
千代「大丈夫よ。傷がひどいのは、治っている証だから。」
陵安「…本当?」
千代「あら、私の言うことが嘘だったことがあった?」
陵安「いいえ!母上が嘘を言うはずがありません!」
千代「ふふ…そういうことよ。」
そして母上は優しく、また撫でてくれる。
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