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千代「…陵安は、父上のようにまっすぐ生きなさい。そして、人のことを助けられる人になりなさい。」
陵安「はいっ!僕、なりますっ!父上みたいな、お医者様に!」
それが当時の目標だった。
康長「んー。どうだろう。陵は不器用でおっちょこちょいだから。」
千代「まぁ、そんなことないわよね。」
ねー、と母上と顔を見合わせる。
康長「ハハハ…ほら、母さん薬飲むから、お水汲んできなさい。」
はいっ、と僕は井戸まで桶をもって走った。
【江戸・北崎康長】
康長「…」
まったく。戸ぐらい閉めなさい。
心の中で私は呟き、暑い夕暮れの中へ飛び込んだ息子の扉を閉めた。
千代「元気ですね。」
千代が体をお越しながら言った。
康長「寝てなさい。体に障る。」
それを制止する私。
千代「あら…私が倒れても、あなたが助けてくれるんでしょ?」
康長「…『緑膿菌』は、ある薬がないと治らないんだ。それは未来にしかない。」
今の時代にはない。精製自体が不可能なのだ。
千代「それはわかってます。ただ、寝たきりでは…」
康長「千代、何度言えばわかってくれるんだい。無理をすればそれだけ君の体を蝕むんだよ?」
千代「…冗談じゃないですか。」
ぷいっ、と千代は背中を向けて布団に潜ってしまった。
康長「…千代っ。」
私は顔を寄せて千代をなだめようとした。
すると突然、千代が顔を出して、
ゴッ!
康長「ったぁ?!」
千代「…お仕置きですっ。」
強烈な頭突きを食らわされた。
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