87人が本棚に入れています
本棚に追加
康長「…こら、千代っ!」
千代「すみません。」
そう言いながらも千代は舌を少し出して笑っている。
陵安「ただいま戻りましたっ!母上、父上!」
丁度陵安が帰ってきた。桶にいっぱいの水をいれて。
千代「ありがとう、陵安。」
…はぁ、まったく。
千代は自分の病気の深刻さをわかっていないのか?
緑膿菌は傷口から侵入してそこから緑の膿を出す。
千代の場合、馬に蹴られた腕の傷から侵入したと考えられる。これはひどくなればやがて死に至る。
……私ではどうにもならない。平成の世にしかないのだ、薬が。
陵安「母上、今日は何が食べたいですかっ?」
千代「ん~、そうね、陵安は何が食べたい?」
そんな他愛もない会話を聞きながら、私の顔には自然と笑みがこぼれていた。
最初のコメントを投稿しよう!