―第一話―

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今、私たちは大久保さんのお世話になっていて、ちょうど知り合いの家が空き家になったからって借りている。 その家がまた広い。 お部屋は私たち五人が一つずつ使っても余ってしまうくらいで、お庭だって剣の稽古とかにはちょうど良い。 あやめ「ほんと、大久保さんには助けてもらってばっかりだな…。」 ありがたすぎる。 私は部屋で少し荷物の整理をすることにした。 薩摩に来てからちょっとバタバタしてたから、ようやくできる感じ。 あやめ「さて、と」 バックの中には色々入っていた。 剣道着はまぁ、いるとして…。歯ブラシセットに教科書、ノート、筆箱にUSB…。 こ、この時代にあって良いのかな。 あやめ「あ…」 …そうだ。 セーラー服もあったんだ。 ずっと着物を着ていたから、もう着ることもないだろうって思ってたけど…。 あやめ「これは…捨てらんないよ。」 私の思い出のひとつだから。 私はそっとセーラー服をバックにしまってチャックを閉めた。 あやめ「…あっ、お饅頭あったかな?」 もしかしたら足りないかもしれない。 私は台所へ行って、自分の予想が当たってしまったことに少し落胆した。 あやめ「あ~あ、買いに行かなくっちゃ。」 そうして私は身支度をして買い物に出掛けた。
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