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新たなる誕生日
これは夢の中か?
意識が曖昧な思考しか出来ず、身体の感覚もつかめない。
海に漂うように、ただ意識を流されていると…
まぶたに淡い光を受けて、徐々に意識が戻り始める。
肌を通して、柔らかな自然の温もりを感じて目を覚ました。
しかし周りには、その感覚とはまるで異なる何も写らない、ただ白い空間が広がっているだけ…
…なぜこんなにも心地よく感じるのかが、不思議に思えた。
そんなことを考えていると、突然小さな色とりどりの光の粒が空中を舞うように集まりだした。
その一つ一つに力強い生命力を感じ観察していると、やがて目の前に神秘的な光玉が浮かんでいた。
『ヒカル、ようこそ』
そんな言葉が聞こえてきた。
周りを見ても自分しか居らず、目の前の光玉からだろうと推測するが…
不思議体験には生憎今まで縁がなかったので、何となく釈然としない。
『それで合ってますよ。ヒカル』
今度は、言葉の後に光玉が一瞬輝きを強めた。
その行為に意識を感じる。
今、無意識で疑問を呟いたのだろうかと思いながら、光玉を見つめ直して言葉を紡ぐ。
『この声はあなた…ですか?
私に何か?』
不思議な存在に対する戸惑いを抑え。
この空間に自分を連れてきただろう存在に、その目的を聞いてみた。
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