ヘレン女史の想い

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ヘレン女史の想い

『ベルガ宰相…。 こちらこそ、お久しぶりです。 どうぞ…。』 失礼するよと席に座るなり、 「はぁー」と溜め息を一つこぼす。 『どうかされたのですか? 顔色が悪い様ですが…』 『いや… それがな、最近不運と言うか調子が良くない。 例えば、魔法協会との案件で重要なのは直ぐ決まるのだが、小さい案件がやたらと決まるのが長い。 それに全員の視線が、妙に冷たいのだよ。 特にクリス嬢は、普段は笑顔なのだが今は氷のような冷たい視線… 他にも、色々な動物に吠えられるわ囲まれるわ追い掛けられる… 私の大好物を買おうとすると、前の人で売り切れましたと言われる。 執務室で仕事をしていると、騎士団の掛け声が五月蝿くて集中出来ない… それに姫様も仕事を増やすような事を言ってくるしな。』 今の話… この人が宰相さんなら、家族の皆が何かしてる? そう言えば、朝出掛ける時に晴れやかな顔してたよね…。
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