ヒカルの事情

ヘレン女史の想い

『クリス嬢…ですか。

確かに優秀な方ですな。

丁度よい、友人なら何か聞いておりませんか？』

会議中、針のむしろで辛くて仕方がないと嘆くベルガ宰相。

『そうですね…。

もし貴方の息子が悪く言われたら、貴方はどう思われますか？』

『ぬう、息子をか？

当然、息子を侮辱するのは私！を侮辱したも同義だ不敬罪で牢に入れてくれるわ！』

…息子の為に怒るのでなく、所詮は自分か…

クリスの事だ、理由は息子を悪く言われたからだろう。

この子を見れば納得する。

『心当たりはありません、ベルガ宰相。

ただ、ご忠告が一つだけあります。

優秀な人間だけが…貴族だけが優秀との常々言っておられる貴方の考えは、それはこの国の教育機関を任されている私としては百害あって一利なしと言わざるおえません。

この国の未来の為にも、ご再考をお願い申し上げます。』

宰相相手にピシャリと言い放つ、ヘレン女史。

それを間近で見たヒカルは、カッコイイ…とヘレン女史への印象をますます良い方へと変える。