1112人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし今の自分はどうだろう、守るべき人々を軽んじ貶めて、自分たち特権階級こそが優秀な人間なのだと驕っていた。
「恥ずべきは私の今まで…」口からスルリと反省の言葉がこぼれ落ちる。
『ヘレン女史の家に向かってくれ。』
御者に行き先変更を告げると、静かに目を閉じる。
………
『奥様、大変でございます。
ベルガ宰相が…』
昼間の内容だろう…
覚悟を決めなくては、ならないかもしれませんね。
『どうされましたか、ベルガ宰相。』
声を掛けると突然片膝を折り頭を下げて、
「私が間違っていた。
忠告してくれて、ありがとう。
心から感謝を…
どうか私を許して欲しい。」震える声が、予想していなかった言葉をヘレン女史に伝えた。
『顔を上げて下さい。』
顔を見ると、一滴の涙が頬を伝い流れている。
最初のコメントを投稿しよう!