ヒカルの事情

アニエスのお仕事

太陽もその姿を大地に隠し始めた頃…

大きな椅子にプラプラと足を揺らしながら、可愛い寝顔を披露しているヒカル。

いつの間にか眠くなり、座ったまま熟睡してしまったようだ。

近くを通る面々は、頭を撫でたくなる衝動を抑え仕事を頑張っていた。

「可愛い♪…私も子供欲しくなっちゃう。」まだ若い一人が顔をキラキラとさせて呟く。

「良いわね、恋人と上手くいってるなら結婚してしまえば？」

「え～どうしようかな？」

「そこ無駄話をしない、仕事の時はメリハリをつけて定時間で帰るわよ。」そんなやり取りが聞こえてき、時間が過ぎていく。

「じゃ、お疲れ様でした。」と各々が帰る中、アニエスもヒカルを背負って歩き出す。

帰り道、夕飯の調理する美味しそうな匂いが、お腹を刺激してくる。

背中にヒカルの温かさを感じながら、こうして歩いていると自分の幸せがよく分かる。

人はよく幸せを見失い、道を踏み違える様に思えるが、自分はヒカルが傍に居るかぎり大丈夫だろうと思う。

だから私は、人々の幸せの手伝いが出来るよう考えて行こう。

ありがとうヒカル、そして今日はごめんね。