月の遺跡

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不安は… 徐々に徐々に人々の心を蝕んでいっていた。 気遣いのある優しさは、自分勝手で傲慢な心に変わり、治世者に対する尊敬はあらゆる不満の捌け口の対象に成り下がる。 大勢が暮らす社会はシステムの完成度も確かに重要だが、そこに暮らす人々の質こそがその運命を決めてしまうとは… その時の人々は、考える事が出来なかったのだろう。 …狂いだした心は、治世者を捕まえ権限を剥奪しようと反乱を起した。 しかし権限を奪えるシステムにはなっていなかった為に、一時的な権限委譲を探しだし奪う。 そしてその更新のためだけに治世者を…ただ生きているだけの状態にして監禁してしまった。 その時点で全ては決まったのだろう、急速に運命は滅びに向かって転がり落ちていった。 やがて大きな争いが起き、栄華を誇った月の民の文明は滅びリリアナは長い眠りについたと言う事だった。 …とても悲しい出来事。
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